お正月の「お雑煮」は、全国各地域の個性が出る料理ですよね。福岡のお雑煮も「博多雑煮」と呼ばれ、だしや具材に特徴があります。
焼きあごをベースにしただし、伝統野菜・かつお菜やぶりなどがたっぷりと入った博多雑煮は、地元民から深く愛されている郷土料理の一つです。全国から購入できる通販商品も多数登場していますよ。
今回は、幼い頃から毎年博多雑煮を味わってきた筆者が、博多雑煮の特徴や魅力についてご紹介します!
簡単なレシピや博多雑煮が食べられるお店も紹介しているので、お正月に向けてぜひチェックしてみてください。
博多雑煮の特徴を紹介!決め手は焼きあごだし・かつお菜・ぶり
福岡で愛される博多雑煮は、大きく分けて4つの特徴が挙げられます。
- 特徴①焼きあごのだしを使う家庭が多い
- 特徴②縁起物として「かつお菜」「ぶり」がマストで入っている
- 特徴③具材がたっぷりと入っている
- 特徴④お餅は丸餅を焼かずに入れることが多い
特徴①焼きあごのだしを使う家庭が多い
まず、博多雑煮のベースとなるのは「焼きあご」のだしです。「あご」はトビウオの呼称で、九州北部や日本海側地域では昔から「あご」として親しまれています。
九州地方でよく獲れることから、だしを使った料理には欠かせない食材として愛されてきました。博多のお雑煮やうどんの透きとおっただしには、この焼きあごのうまみがぎっしりとつまっています。
博多雑煮では焼きあごに加え、昆布やかつお節などと合わせてだしをとる家庭が多いようです。筆者の家でも焼きあごの他に、昆布やするめ、後ほど紹介するぶりと一緒にだしをとります。
食材から用意するのが難しい場合は、博多雑煮の特徴を捉えただしパック商品を使うのもおすすめです。
特徴②縁起物として「かつお菜」「ぶり」がマストで入っている
博多雑煮に欠かせない具材が「かつお菜」と「ぶりの切り身」です。上の画像内に、緑色の野菜があるのがわかりますよね。これが、博多の伝統野菜・かつお菜です。
かつお菜はとても肉厚で、うまみ成分も豊富に含んでいます。茎の部分がかつお節のような味がすることからその名がつきました。
ぶりは諸説ありますが、博多では昔から年末に「嫁さんぶりがいい」と、お嫁さんの里にぶりを持っていく風習があったそうです。そのため昔から、お正月の料理にぶりがよく使われていたのだとか。
ぶりは出世魚でもあるので、縁起がいいことには間違いありません。かつお菜もぶりも、うまみたっぷりの博多雑煮をさらにおいしくしてくれます。
特徴③具材がたっぷりと入っている
上の画像は、筆者がほぼ毎年食べているお雑煮です。写っているのがかつお菜、ぶり、里芋、にんじん、紅白かまぼこで、下の方には丸餅、しいたけ、するめ、大根も隠れています。
このように博多雑煮は、かつお菜やぶり以外にも、具材がたっぷりと入っているのが特徴なんです。筆者の家では具材が多すぎるあまり、いつもうどん用のどんぶりに盛り付けています……!
かつお菜、ぶり以外にどんな食材を入れるかは、それぞれのお家の好みや地域によって違いがあります。傾向としては、しいたけ、里芋、にんじん、かまぼこ、大根などを入れるご家庭が多いようです。
特徴④お餅は丸餅を焼かずに入れることが多い
お雑煮に欠かせないお餅は「形」「焼くか焼かないか」「あんこ入りか」……など、地域によって個性が出る部分ですよね。博多雑煮の場合は「丸餅を焼かずに入れる」のが特徴です。
具体的には、食べる直前にお餅を茹でて柔らかくしたものを盛り付けます。食べる頃にはやわやわになり、伸びのいい食感が楽しめるんです。
この柔らかさのおかげで、博多雑煮の特徴である焼きあごだしがしっかりとお餅に浸透し、おいしく味わえます。
博多雑煮のレシピを簡単に紹介します!
博多雑煮のレシピを簡単にご紹介します。ここで紹介するのは一例となりますので、各ご家庭の好みに合わせてアレンジしてみてくださいね。
- 食材の下準備をする【マスト食材】
・かつお菜を茹で、3cm前後の幅で切る
・塩をふっておいたぶりを一口大に切り、茹でる
・餅を柔らかくなるまでサッと茹でる - 食材の下準備をする【その他の食材】
・にんじんの皮をむいて輪切りにし、茹でる
・里芋の皮をむき、一口大に切って茹でる
・かまぼこは一人前ずつ切る
・しいたけは水に戻して一人前ずつ切る
・大根をいちょうの形に切っておく - 鍋に水を入れ、腸を取り除いた焼きあご、昆布などでだしをとる(だしパックなどでも可)
- 鍋から焼きあご、昆布などを取り出し、下準備をした具材(餅と大根以外)を入れて弱火で温める
- 器の底に大根を入れ、その上に茹でた餅を入れる
- 上から具材を並べ、だし汁を注いだら完成!
博多雑煮のおいしさの決め手となるのは焼きあごだしです。お好みの味になるよう、ぜひこだわってみてください!
博多雑煮だけじゃない!福岡県内各地域のお雑煮
福岡県内で有名なのは、博多雑煮だけではありません。ここでは、福岡県内各地域の特徴的なお雑煮についてもご紹介します。
【筑前朝倉地域】茶碗蒸しのような「蒸し雑煮」が有名
「筑前朝倉地域」は、福岡県中央部に位置する朝倉市周辺エリアのことです。筑前朝倉地域では、お雑煮と江戸時代に伝わったという茶碗蒸しが合体した「蒸し雑煮」が名物となっています。
お雑煮の具材として使われる食材、そしてするめや昆布を入れてだしをとり、卵と合わせて蒸すことで、うまみがたっぷりつまった茶碗蒸しが出来上がります。もちろん、お餅も入っていますよ。
朝倉市には蒸し雑煮が食べられるお店が多く、自宅で楽しめるレトルト商品なども販売中です。インターネットでも購入できるので、詳細は朝倉市の公式サイトをチェックしてみてください。
【北九州地域】お雑煮に鶏肉が入っているところも
具材が豊富な博多雑煮ですが、北九州エリアでは雑煮にこま切れにした鶏肉を入れるご家庭が多いようです。
福岡で「かしわ」とも呼ばれる鶏肉は「かしわめし」などの名物があるほど親しまれています。
特に北九州には「かしわうどん」などの名物もあるので、うどん同様にだしを楽しむお雑煮にも鶏肉を入れるご家庭が多いのかもしれません。
確かに、具材のうまみがつまった博多雑煮と鶏肉は相性が良さそうですね!
一年中博多雑煮が食べられるお店「雑煮のせき亭」(福岡市博多区)に行ってみよう
店名 | 雑煮のせき亭 |
営業時間 | 【月曜〜金曜】 11:30〜17:00 【土曜】 11:30〜16:00 |
定休日 | 日曜 ※不定休もあるため、公式サイトを要確認 |
所在地 | 福岡市博多区博多駅前1丁目7-16 |
アクセス | Google Map |
公式HP | 詳細を見る |
「お店で博多雑煮が食べたい」「お手本が知りたい」という人は、博多区にある「雑煮のせき亭」に足を運んでみましょう。お雑煮を提供して50年以上という老舗で、博多雑煮が1年中食べられます。
「雑煮のせき亭」はもともと長崎県・島原の郷土料理「島原雑煮(具雑煮)」を専門としていました。現在は島原雑煮に加え、現店主さんに馴染みのある博多雑煮の提供も行っています。
あごだし、かつお菜、ぶり、丸餅、そしてたっぷりの具材が入った、お手本のような博多雑煮をぜひ味わってみてください。
まとめ|具沢山&縁起のいい博多雑煮でお正月をおいしく楽しもう!
博多雑煮は、焼きあごだしをベースにし、かつお菜、ぶり、丸餅といった多くの具材によるうまみが凝縮された郷土料理です。
私も祖母の家で食べる博多雑煮が幼い頃から大好きです。特にお雑煮のだしが大好きで、いつもおかわりしてしまいます。今年は北九州風に、鶏肉入りのお雑煮づくりにチャレンジしてみたいです。
来年のお正月はうまみがたっぷりとつまった博多雑煮で、おいしい&縁起のいい新年を迎えましょう!