博多弁でよく使われる方言”せからしい”は「(行動が)うるさい、落ち着きがない」といった意味で、同じ博多弁の”しゃーしい”と似たような意味です。
また、”せからしい”は、可愛い博多弁としてSNSで紹介されてこともありますが、残念ながら若い博多女子は”せからしい”とは言いません……!
”せからしい”は、50代より上の世代でよく使われる方言なのです。
(ちなみに筆者は20代ですが、”せからしい”は使いません。でも意味はばっちりわかります!)
福岡で生まれ育った博多弁ネイティブの筆者が”せからしい”の意味や語源、日常会話での使い方をご紹介します!
博多弁の「せからしい」とはどういう意味?
博多弁の”せからしい”とは、上記のように「うっとうしい」「うるさい」という意味です。
うっとうしいが転じて「しつこい」「面倒くさい」といった意味や、行動がうるさくて「落ち着きがない」といった意味も持っています。
”せからしい”は、文脈や使う人によってニュアンスが変わるのが特徴です。怒っているときに言うこともあれば、笑いながら言うこともあります。
せからしいは「急ぐ(せく)」という言葉が語源になった方言
”せからしい”は、室町時代に現在の福岡や熊本で「せかせかして気ぜわしい様子」を言い表したのが由来です。
また、”せからしい”は、昔の言葉で「いそぐ・あわてる・あせる」を意味する古語「せく(急ぐ)」から派生した形容詞ともいわれています。
せからしいの日常会話での使い方(例文)
”せからしい”の簡単な日常会話を紹介します!
- あんた”せからしかね〜”!
- あの人”せからしい”っちゃんね〜
- なんでそげん”せからしいと”!?
- もう”しぇからしか〜”!
”せからしい”は、文脈や言い方によって「落ち着きがない」や「しつこい」など意味が変わってきます。福岡県民がよく使う”せからしい”の例文を4つご紹介します!
あんた”せからしかね〜”!
”せからしい”は、「動きがうるさい」「落ち着きがない」といった意味で使うこともあります。
この例文は、せわしくなく動き回る人に「落ち着きがないね」「いつもせわしないね」とツッコミを入れるようなニュアンスです。
決して怒っているわけではなく、笑いながら軽く指摘をする感じで使います。そのため、ある程度仲の良い関係の人にしか使えません。
例えば、年末年始の家族の集まりなどで、バタバタしている人を見かけたら、おじいちゃんおばあちゃん世代が言いそうな例文です。
あの人”せからしい”っちゃんね〜
”せからしい”には、「しつこい」「やかましい」「煩わしい」「面倒くさい」といった意味もあります。
この例文は、何度も小言を言ってくるような人に対して、「あの人何度も小言を言ってきてしつこいんだよね〜」と愚痴をこぼすようなニュアンスです。
ちなみに、語尾の「〜ちゃんね」というのも博多弁です。「〜なんだよね」という意味があります。
なんでそげん”せからしいと”!?
この例文は、バタバタと走り回って落ち着きのない子どもに親が「なんでそんなに落ち着きがないの!じっとしときなさい!」と怒っているイメージです。
基本的に、博多弁で怒るときは「しゃーしい!(うるさい!静かにしなさい!)」と言うほうが多いですが、50代以上の世代は”せからしい”を使うこともあります。
ちなみに、語尾の「〜と!」は標準語の「〜なの!」と同じ意味です。
もう”しぇからしか〜”!
福岡の年配の方は「さしすせそ」を「しゃしぃしゅしぇしょ」と発音する人もいます。(例:先生→しぇんしぇい)
そのため、年配の方が使うと「しぇからしか」となるのです。
ちなみにこの”しぇからしか”は、2015年に発表されたHKT48と氣志團のコラボ曲『しぇからしか!』のタイトルとしても有名です。
「せからしい」と「うざい」の使い分けは!?
”せからしい”の同義語として挙がることのある”うざい”は、博多弁ネイティブからすると言葉の温かみが全く違います。
たしかに”せからしい”にも「うるさい」という意味がありますが、”うざい”よりも優しいニュアンスです。
「もう、本当にあなたは落ち着きがないね〜笑」といった感じで、家族や仲の良い人からツッコミを受けるイメージです。
一方、”うざい”は”せからしい”と比べて冷たい印象を受けます。「うざったい」「うっとうしい」といった悪口に近い印象です。
せからしいを使うのは博多だけじゃない!他県との違い
福岡以外でも、九州を中心に”せからしい”という方言は使われています。
- 鹿児島
- 宮崎
- 熊本
- 大分
- 大阪
鹿児島では、主に「うるさい」と注意するときに”せからしい”が使われます。
福岡と同じような意味で”せからしい”を使っているのは、宮崎・大分です。熊本では、福岡で使われる意味に加えて「忙しい」という意味でも使われます。
また、九州から離れた大阪では、主に「忙しい」「気ぜわしい」という意味で”せからしい”が使われています。
まとめ|せからしいは福岡〜西日本でよく使われる方言だった!
”せからしい”は福岡〜西日本を中心によく使われる方言です。個人的には、50代以上の世代で、博多弁のなまりが強い人がよく使っているイメージがあります。
また、話の流れや言い方によってニュアンスが変わってくるため、少し難易度の高い博多弁でもあります。
もし、博多弁で”せからしい”と言われでも、”うざい”のような悪口ではなく、愛のあるツッコミですので安心してくださいね。